ダイビングツアー専門旅行会社ワールドツアープランナーズが、人気上昇中の日本のダイビングのおすすめスポットをご紹介!
初心者の方からベテランの方まで、幅広くご利用いただけるように、スタッフ全力でフルサポートいたします!
1 - 小笠原諸島東京
写真&文:古見きゅう
世界には「秘境」と称される場所がある。
秘境と呼ばれる場所にまず共通しているのはアクセスしづらいということだ。
たしかに簡単に行けてしまっては、誰も秘境とは認めないだろう。
飛行機も全国各地飛び回っている日本の中においても、いまだ交通手段は船だけの島が小笠原諸島。
首都東京都の一部でありながら、都内から約1000km離れた洋上に30ほどの島々が連なる。
2011年には白神山地、屋久島、知床に次ぐ4箇所目の世界自然遺産に登録された。
島が形成されて以来、日本本土から隔絶していて、島の動植物は独自の進化を遂げているため「東洋のガラパゴス」と呼ばれる。
いわゆる絶海の孤島だ。
拠点なる父島からダイビングボートに乗船し海へ出ると、どこまでも広い空に無数のカツオドリが羽ばたいて、何気なくそこにある小さな無人島の雰囲気が秘境感を醸し出し、そこら中に飛び跳ねるイルカの群れが見える。
冬場はザトウクジラまで見えてしまう。
うん。まさしく秘境だ。
陸上の動植物と同じように、海中の景観も国内の他の海と一線を画する。
サンゴ礁の繁茂する熱帯の海とも、温帯の海とも違う海。色々考えたのだが「小笠原っぽい」としか例えようがない。
場所によっては大規模なサンゴの群落もあり、アジアコショウダイやヨスジフエダイなどの、この海に適応した種は個体数が半端ではない。
オビシメやミズタマヤッコなどの小笠原固有の魚に、伊豆諸島を代表するユウゼンやレンテンヤッコ、国内ではほぼ見かけることのないダイダイヤッコやコガネヤッコなどの面白い魚も見られる。
強面のシロワニなどもしかり。この海でしか出会うことのない生き物が満載だ。
小笠原でのダイビングは本当に忙しい。
次から次へと面白生物やダイナミックで心踊るシーンや魚群が現れる。
ついでに言えばインターバル時間などでもイルカがやってきたりするのでまた忙しい。
24時間の航海のみで訪れることができる小笠原諸島。
なかなか簡単に来ることができるわけではない日本が誇る秘境にやってきたら、つべこべ言わず全力で海と自然を満喫してもらいたい。
2 - 伊戸館山
写真&文:鍵井靖章
大都会・東京の隣に位置し、東京ディズニーランドのある千葉県にはとても刺激的な海が待っている。
東京から約2時間、房総半島の南にある伊戸の海は、日本の海を代表する稀有なダイビングスポットの一つになっていて、何百匹にも及ぶサメのシャークスクランブルを体感することができる。
ポイントの名前は、「沖前根」シャークシティ。
アンカーロープ沿いに先行していくと眼下の海底にもうサメがうじゃうじゃと泳いでいるのがすぐに見える。
そこにゆっくりと潜降していく。
海底の砂地の水深は20m〜24mで、そこに東西約150mに伸びる沖前根があり。
根のトップは水深約15m。
海底に到着すると、もうすでに周囲はサメだらけ。種類はドチザメ。
日本近海から東シナ海にかけての沿岸に生息する。最大全長は150cm。
性格はおとなしく、人間を襲うことはない。それでも、数が圧倒的なので、海底の景色は驚愕で、かつ壮大でもある。
他のオススメの生き物も観察してきた。まず、向かったのが、岩の隙間に寝ていたオオセ。
そしてその近くにはユウレイクラゲがいて、小魚をたくさん従えていた。
イサキの大きな群れに出会い、そして、冬の時期だけ繁殖に集まるショウサイフグの群れにも遭遇した。
その後は、可愛いネコザメにも出会った。
3本目は、砂地に擬態する大きなツバクロエイを見せてもらい、またクリーニングされていたヒゲダイにもご挨拶。
他にもアカヒメジやイサキの群れを見て、シャークスクランブルに戻った。
2019年の10月から定置網がなくなったので、これまで漁の主力商品だったアジ、イサキやカンパチ、ヒラマサがより多く見られる様になった。
また、春先には、定置網にマンボウが入っていたので、もしかするとこれからは水中で出会えるかも知れない。
サメ以外の魅力もどんどん期待できそうだ。
3 - 神子元伊豆
写真&文:古見きゅう
伊豆半島最南端の下田からボートに乗り込みたどり着く神子元島。
かねてより日本中のダイバーから熱い注目を集めてきた。
その理由はただ一つ。
ハンマーヘッドの群れが見られるからだ。それもかなりの確率で。
よくよく考えてみると、日本の首都東京から車で約3時間半。電車でのアクセスも可能。
これだけ首都圏から近いところでハンマーヘッドの群れに遭遇できるチャンスがある場所なんて、他にあるのだろうか?
個人的には世界的にも聞いたことがない。
ガラパゴスやココ、マルペロなどいわゆる秘境と称される場所もハンマーヘッドの群れは有名だが、神子元のようにデイトリップでのダイビングで、しかも1本毎に港まで帰港できる場所というのも、僕の経験上神子元(厳密に言えば与那国も)だけではないだろうか。
常時強烈なカレントが洗う神子元周辺のダイビングはドリフトスタイルのみ。
熟練のダイブガイドの読みでポイントをチョイスし、潮に乗りながらハンマーヘッドとの遭遇を待つ。
潜行した瞬間からタカベやイサキの巨大な群れが、我々を取り巻くように出現する。
そこにカンパチなどの回遊魚が執拗なまでにアタックを繰り返し、魚群は「ドン!ドン!」と炸裂音を立てながら逃げ惑う。
潮がブチ当たる外洋らしいダイナミックな光景に興奮は止むことがない。
流れに耐えながらコーナーに着底し水面を睨む。すると水面近くを泳ぐ無数の影が。
少々異様とも言うことができるその形はまさしくハンマーヘッドのもの。
もちろん行けば必ず見られるものではない。ただし行かなければ見ることができない。
近年は特に群れの規模も大きく、遭遇率も高く期間も伸びている傾向があると言う。
このギャンブルのようなダイビングに勝利した者だけが味わうことができる興奮が神子元にはある。
“都心に近いハンマーの海”僕らはまだ気づいていないだけかもしれないが、世界的に見ても貴重な海であるのかもしれない。
4 - 石垣島沖縄
写真&文:古見きゅう
「石西礁湖(せきせいしょうこ)」は八重山諸島の石垣島から西表島の間に広がる、日本最大のサンゴ礁。東西20km、南北15kmに広がり400種を超える造礁サンゴが生息する。
このサンゴ礁の下にたくさんの小さな生き物たちが住処を持ち、餌場とし産卵し種を残していくという、いわば日本の熱帯魚など多くの生命の揺り籠となる訳だ。
その八重山諸島の玄関口となるのが石垣島。飛行機の離発着も多く、基本的には竹富島、小浜島、黒島など八重山各島へのアクセスは、全て石垣から定期船で向かうこととなる。
もちろん各島にステイしながらダイビングを楽しむことも可能だが、石垣島を拠点とすれば、石垣はもちろん八重山全島をデイトリップで巡ることも不可能ではない。
これはかなり大きなアドバンテージだ。
石垣島は言わずと知れた国内有数のマンタスポットであり、海底環境の多さ故にマクロ生物も楽しむことができる。
フィリピンからの黒潮の恩恵を受けるため、国内初記録種は元より、国内ではここでしか見られないという種も少なくない。
個人的に推したいのは石垣島名蔵湾周辺の内湾ポイント。
干潟部分にはマングローブ林床が茂っているため、濁っていることも多いが、その分サンゴの密度は素晴らしく、そこに依存する生物も非常にバラエティーに富んでいる。
マクロからワイドまで時間を遊ぶことができる場所だ。
美しい砂地の広がる竹富島や新城島のスカシテンジクダイやキンメモドキが群れるパッチリーフも素晴らしい。
西表島のサンゴや魚群、黒島の地形など、気持ちのいい海から、マニアックな生物がいる海まで、ここまでのダイビングバリエーションを誇る海は世界的にも希少だ。
水温年間を通して温暖で、特に6月〜10月のベストシーズンは本気で世界中の方々に是非潜ってもらいたい素晴らしい海。
まず日本の海を知る第一歩として、石垣の旅をチョイスするのは間違いではない。
5 - 久米島沖縄
写真&文:古見きゅう
沖縄那覇空港から小さなプロペラ機に乗り換え、離陸したと思ったらすぐさま下降が始まるという、なんだかちょっと損したような感覚をおぼえたりもするが、この近さが久米島のまず良いところのひとつ。
島の道路を走っていると視界の先には眩しいほど青い海がひらけ、反対側にはサトウキビ畑の緑がさわやかに広がる。
僕が初めて久米島を訪れた15年前から何ひとつ変わらない素朴な島の風景がいつも嬉しい。古き良き沖縄の風景というか、あたたかな包容力というか、そういった空気が久米島には漂っている。
ひとことで言えばのんびりしているということだ。
その素朴な風景は海の中にも当てはまる。それはすなわち海の中はいつも魚たちで賑わっているということ。
長くダイビングを続けていると「昔は良かったんだ」というような、海の現状を憂える声もちらほらと訊こえてくる。
しかしながら久米島の海に関して間違いなく言えるのは、いつも同じように「いい海」が待っているということ。
個人的に好きなポイントを挙げるとしたら、まず外せないのが「ウーマガイ」。
浅いリーフトップから沖に向かって泳ぐと、ほぼ垂直に落ち込むドロップオフがあり、海底に吸い込まれるように下っていく感覚はいつもぞわぞわして心地よい。
すこし深場の30m付近でスミレナガハナダイの産卵行動や、国内ではあまり見かけないフチドリハナダイやアケボノハゼを満喫し、降りてきたドロップオフを今度は浮上しながら登っていくと、あらゆる種類の魚が逆光で色を失い、シルエットとなる壮大な影絵を楽しむことができる。
あの風景は派手ではないもののぜひ一度生で見てもらいたい光景だ。
「竜宮」アカネハナゴイ、キンギョハナダイの群れ。「イマズニ」のギンガメアジやカマスの群れにウミガメ天国の「月面空間」。
そしてスケールの大きな外洋ポイント「トンバラ」から、海岸の水たまりのタイドプールまで尽きることのない魅力が島全体に散らばっている。
それらを余すことなく伝えてくれるガイド陣の力量と、生物の生態や撮影知識に関する造詣の深さは国内でもトップクラス。
久米島の海に潜るということは「沼にハマる」ということでもある。この底なしの海の実力を存分に味わってもらいたい。
6 - 宮古島沖縄
写真&文:古見きゅう
宮古島といえば日本屈指の地形ポイントが揃っているということで知られているディスティネーション。
2015年に日本一長い伊良部大橋で繋がった伊良部島と、それにくっ付くように並ぶ下地島の周りにポイントが多く、観光景勝地としても人気の高い「通り池」や、深場から見上げると美しい光の窓が並ぶ「アントニオ・ガウディ」、「魔王の宮殿」「エンジェルケーブ」などなど、名前を訊いただけでもワクワクしてくるようなポイントが多い。
もちろんそれぞれがただ単調な穴という訳ではなく、光の差込が良いポイント、下から見上げた水面の波打が美しいところ、魚の溜まりが良いところなど、探検気分を味わえるところなど、穴にもよっても個性が分かれているから面白い。
僕などはどちらかと言えば魚は好きなので、普段は魚にしか目がいかないことが多いが、宮古島では1日3本地形のポイントを潜っても飽きることがない。
というよりも「この後はどうなるのだろう?もう少しこの場にいたら…」と動けなくなってしまうことが多い。
季節、時間、干満などあらゆる現象で、まるで生き物のように表情を変える宮古島の洞窟には、いつもいつも心底感心させられてしまう。
宮古島の地形・洞窟ポイントにも引けをとらない魅力を持つのが島北部にある、日本屈指のサンゴ礁「八重干瀬(ヤビジ)」は南北17km、東西6.5kmにわたる広大なサンゴ礁。
東京ドーム何個分になるのかは分からないが、とにかくものすごい広さであることは間違いない。夏場は水面と空の境が分からなくなるほど青く美しく、水面に顔をつけるのが幸せに感じるほど、色に溢れたサンゴや魚が目の前に現れる。
個人的にはあまり宮古の周辺では見かけないマンタにも、このヤビジの中で数回遭遇しているし、休憩中にジンベエザメとニアミス(残念!)したこともあった。
という具合に宮古島の周辺はポイントの数も非常に多く、それに伴い海の中のバリエーションも非常に豊富だ。ヤビジも含めれば尚更のこと、距離的に近くないのであまり馴染みがないかもしれないが、東海岸の「ツフツワ干瀬」と呼ばれるサンゴ礁もまた一味違った面白さがある。地形だけだと思ったら大間違いの宮古島。その魅力を存分に味わうためには可能な限り長い滞在をお勧めしたい。
7 - 奄美大島鹿児島
写真&文:古見きゅう
近年、奄美大島の海を一躍有名にしたのがアマミホシゾラフグの雄が造りあげる海底ミステリーサークルだ。
アマミホシゾラフグは奄美大島の固有種であり、体長は10cmほど。
体色は砂色で地味。身体中に模様はあるものの、取り立てて特徴的とも言い難い。
何も知らなければファンダイバーにはスルーされてしまいそうな、ちょっと残念な感じが否めない。
が、彼らが産卵期のタイミングに雌を誘い込み産卵させて、安全に育てるための産卵床こそが、このミステリーサークルと呼ばれるものだ。
奄美北部ダイビングポイントで、このミステリーサークルを観察できるエリアはほぼ一箇所と決まっているらしく、砂よりも目の細かい砂泥底の海底でしか見られない。
春から夏にかけてのあいだが最盛期らしく、雄は雌を誘い込み産卵をさせ、卵を無事に孵化させると少し場所を変え新たな産卵床を造りまた産卵を行うという。
直径1mほどはあるこの産卵床の建造物のような美しさだけでも驚きなのだが、またこれをあの小さなフグが築き上げていると思うと、感心の域を超越して尊敬の念を抱かざるをえない。
産卵床の外周に張り巡らされた放射線など、あんなに柔らかそうな砂泥を、いったいどうやったらこんなにも隆起させることができるのか?そして、それらは卵を産み付ける中央部分に、効率よく新鮮な海水を送るための隆起なのだとか。
奄美大島北部でのダイビングはボートダイビングが基本。
巨大なコモンシコロサンゴの「大仏サンゴ」や、美しいハナダイが群れるパッチリーフの「山本スペシャル」などの人気ポイントはやはり安定の面白さがあり、ニシキテグリやカクレクマノミなど、いわゆる黒潮系の南方種でこの奄美が北限の地となるものも少なくない。
年間の降雨量も多く、金作原に代表される原生林も豊かなので、森の栄養分も多分に海に流れ込む。外洋、内湾、それからサンゴの絶景が、ウミガメが群れで見られる驚きのビーチポイントなどもある。
個人的にも大注目の奄美大島。この海のポテンシャルは計り知れない。
8 - 沖縄本島
写真&文:古見きゅう
沖縄本島の中部のリゾート地である恩納村。
かの有名な景勝地「万座毛」や「青の洞窟」の爆発的な人気で広く知れ渡った真栄田岬などもじつは恩納村の一部だったりする。
恩納村でのダイビングにはいくつかのパターンがある。
例えば子供連れの家族旅行の場合は、午前中は真栄田岬で体験ダイビングやスノーケリングを家族みんなで楽しみ、午後からはガイドと共に真栄田岬の沖のポイントでファンダイブを楽しむということも十分に可能だ。
今となってはスノーケリング、体験ダイビングなどビギナー向けというイメージが強い真栄田岬の周辺だが、この前兼久のエリアもフォトジェニックな被写体は数多いということはあまり知られていないのかもしれない。
逆にこのエリアではファンダイバーが少ないので、ガイドとじっくりとマニアックなダイビングを楽しめるとも言えるのかもしれない。
もう一つのプランとしては、万座方面まで遠征しボートダイビングを楽しむこともできる。
どちらかといえばフォトダイバーにはこちらの方が、ポイントのバリエーションも多く、存分に楽しむことができるのかもしれない。
美しい白い砂地が広がる「なかゆくい」などは天気が良いと漂っているだけで幸せを感じられる極上の癒し空間でありながら、海藻類に隠れる甲殻類や各種幼魚も次々と出現する。
ダイナミックな地形がそのまま海底まで続く「万座毛」や、差し込む光が美しい「ドーリームホール」なども人気は高く、マクロからワイドまでじっくり撮影を堪能することができるが嬉しい。
個人的に特筆しておきたいのが「ミニドリームホール」の浅場に広がるサンゴ群生だ。
7〜8年ほど前から徐々にサンゴが増えてきていた印象だったが、ここ数年でこれまで小さかったサンゴがそれぞれ大きくなりつつあり、素晴らしく美しいサンゴの群生となってきている。
サンゴが美しく成長するということは、海の状態がより良くなってきているということに他ならない。ぜひ一度沖縄本島の素晴らしいサンゴの光景を味わってみてもらいたい。
8 - トカラ鹿児島
写真&文:鍵井靖章
日本の海には、まだ未開の海域が残されている。
それは薩南&トカラ列島の海だ。沖縄や伊豆などは有名なダイビングエリアとして確立され、国内外のたくさんのダイバーに人気が高い。
しかし、今回、紹介する薩南&トカラ列島は、日本人ダイバーもまだ知らない高いポテンシャルを秘めた海。
暖かな暖流である黒潮の恵みを受け、野生を感じる海である。
イソマグロの群れ、カマストガリザメ、シルキーシャーク、ハンマーヘッドシャーク、タイガーシャークなど1航海で、こんなにも多くの種類のサメを、それも餌付けなしで見れる海域はない。
トカラクルーズと名付けられているが、実質は、アイランドホッピング的な島巡りで、島独特の景観、文化に触れることができる。
未開の海、薩南&トカラ列島に大注目!
赤瀬というポイントへ。
実は、ここでは水面で捕食しているマンタが見られるそう。
エントリーする前から、水面に何やら生き物の影が・・・水中に入って見ると、そこにはアオウミガメが優雅に泳いでいた。
その後、リーフの上に群れるハナダイやハナゴイの群れを見ながらカラフルな海底を進んでいく。
この頃から、遠くに聞こえる微かな音は、ザトウクジラの声だと気づき始めた。
そして、水深15mから水面を見上げるとなんとマンタがくるくると泳いでいる。
よく見るとクラゲがたくさん浮いていて、その中をマンタが口を開けて泳いでいく。
逃げるわけでもなく、その周辺を行ったり来たり。
私は水面にいる2枚しか見なかったが、全部で、5枚ほどいたようだ。
ここには、クリーニングステーションはなく、いつも水面で捕食しているマンタに会えるらしい。
クジラの声を聞きながら、マンタと出会う。なんて贅沢な時間なんだろう・・・笑
さて、人気のダイビングポイント、ラクダへ。
ここは、島側に、ラクダのような巨石があり、その下で潜るので、このような名前になったらしい。
ここは、潮当たりの良い場所は、真っ赤なイソバナがあり、その周りに無数のキンギョハナダイが群れる賑やかなポイントで、潮の流れの中、大物との出会いを楽しむ他のポイントから比べると、かなり癒し系のポイントで、ラクダファンも多い。
他にも大きくて真っ赤なイソバナが連立するエリアもあり、この海の景色もトカラの一つの魅力。
最後は、大きなサンゴの群落の上を通り、生命溢れる海底を堪能した。
そして、最後は個人的にとても楽しみにしていた硫黄島の水中オーロラへ、硫黄島の港に近づくと、水面が茶色く濁っている。
それは、硫黄島の海底から湧いた温泉水が、酸化して赤く染まるという現象で、その景色だけでも違和感満載。
私たちは、その下を潜るのだけど、その茶色い水の下に外洋からの青い水が入り込み2層になる。
それを見上げるとまるで水中オーロラのような不思議な現象に映る。
ガイドの木村さんが、6、7年前に海が時化て潜るポイントがない時に苦肉の策で発見。
最初は、温泉ダイブと名付けていたが、素敵ではないので、オーロラに変更。
青い海水から見上げるオーロラのような景色は、世界でここでしか見ることのできない世界に誘ってくれる。
この現象は通年見られるが、海の水がより青くなる初夏以降の方が良い。
9 - 古座和歌山
写真&文:古見きゅう
「温帯域の生物と熱帯域の生物両方を楽しむことができる」と言われる海は、日本の中に実はいくつかある。
しかし、これまでの取材経験上、僕の中では上記のフレーズは串本の海が最も当てはまる。
紀伊半島の最南端で、黒潮が本州で最も接岸する場所として知られるのが串本町。
町自体が「サンゴの町」を謳っているだけあり、沿岸部の浅瀬にはテーブル状サンゴや枝状サンゴの大規模な群落が見られる。
水温も黒潮の離岸接岸状況に左右されるが、伊豆半島よりは平均して高く、サンゴに依存する熱帯の魚たちがより生きやすい海となっている。
元々は温帯域の海でありながらも、サンゴをはじめとする黒潮の由来の生物が多く見られる、知れば知るほどユニークな生物相なのだ。
串本町は東西に長く、大きく「串本エリア」「紀伊大島エリア」「古座エリア」と分けることができ、それぞれ全く違う海中の様相が広がっている。
「串本エリア」は前述の通り黒潮の影響が色濃く、サンゴの群落も大きい。
ミギマキやタカノハダイなどが熱帯系の魚と共にサンゴを泳いでいたり、本州初記録種と言われる魚が多く見つかったりと、魚種・量ともに豊富な実に豊かな海。
「紀伊大島エリア」はもちろん外洋のポイントもあるものの、どちらかと言えば、熱帯の華やかさはなく、潮の入れ替わりの少ない内湾の閉鎖的な海域が面白い。
特に紀伊大島 須江の海は所謂ドン深の海となり、深海魚のマトウダイがとにかく多く、クルマダイ、時期にはタカアシガニなども見られたりする海だ。
串本町の東端となるのが「古座エリア」。古座は串本に比べると明らかに温帯色が強く、伊豆半島の海中景観に寄っている。
サンゴ群落というよりも、大きなソフトコーラルの群生が美しく、外洋のダイナミックな地形や回遊魚の出現率も高い。
そして古座のシンボルとも言えるのが国の特別天然記念物オオサンショウウオの存在。
海まで流れ込む古座川を一時間ほど車で登っていくと、美しい緑に囲まれた清流地帯に入る。
クリスタルブルーに澄む川にはアマゴやヨシノボリなど、清流の生物が多い。
この清流の主とも言えるのがオオサンショウウオだ。
100年近く生きるとも言われる生き物で、体長は大きなもので1mを超える。
岩陰でジッと獲物を待つ個体が多いが、時折アクティブにのそのそと歩き回るものも見かける。
明らかに異質なオーラを放つ風貌は、まさに清流の仙人。
古座では1ダイブ海で、1ダイブオオサンショウウオを観察するリバーダイブなどのアレンジも可能なので、是非とも機会を作って川のダイビングにもトライしてみたいものだ。
10 - 錦江湾鹿児島
写真&文:鍵井靖章
ボートダイビングで向かった沖小島の東の根。
エントリー後の水深7mには広い砂地が広がり、そこはサクランボウ(ネジリンボウ)畑やカワハギの繁殖行動などが観察される。
水深を下げた根(20m〜25m)に、アカオビハナダイが年中群れている。
そこには、ムチカラマツの群生もあり、アカオビハナダイがそこに絡むことで、あまり他では見たことのない景色を見せてくれる。
アカオビハナダイの根は桜島周辺のポイントで、岩質はシラス台地でできた沖小島よりも溶岩質なのでより黒っぽく、地形は、少し急な傾斜になっている。アンカーライン沿いに潜降していく。水深20mに突き出た根があり、その周辺にアカオビハナダイの数万匹が群れる。
海底の傾斜にはムチカラマツ、カラフルなアカヤギ、オドリカラマツなどが群生し、水深をあげるとイソギンチャク畑とシコロサンゴの群生がある。
これも他でもあまり見かけないコンビネーションで、とても美しい独特な景観だった。
ビーチポイント・袴腰は県外からのダイビングツアー客にも定番の錦江湾のポイント。
ガイド陣がうまく水中ライトを使用してアカオビハナダイを集めてくれる。
ストロボに照らされた真っ赤なアカオビハナダイと錦江湾ならではの緑色の海がこれまた不思議な魅力を放っていた。
そして、水深30mまで行くと、様々なヤギなどの仲間が群生し、浅瀬では見られない色彩豊かな海底を知ることができる。
時々、このポイントは潮の流れが早くなることもあり、その根に行かなくとも、そこ以外でもムチカラマツが群生し、そこにアカオビハナダイがたくさん泳いでいるので、十分に楽しむことができる。
防波堤からエントリーして、まずは、その壁に群生するマメスナギンチャクの壁を楽しむ。
カラフルな色なので、被写体としても良い。
そして、水深5、6mの火山灰の海底は砂地が黒いので、ネジリンボウがサクランボウのように赤みがかっている。
多い時で、10ペアほどいて、9月くらいから1cmチビが出現する。
またその周囲では、ダテハゼ、ハナハゼなどのハゼの巣穴が多いので、錦江湾名物の出待ちしているキリンミノとオオモンハタも見ることができる。
そして、少し水深を落として、ムチカラマツの群生を超え、溶岩の根に着くとナガシメベニハゼ、フウセンカンザシゴカイが見られる。
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