日が昇り、そして沈む頃・・・

2012年11月27日(火)

ワカトビのゲスト、Allan Saben氏とErik Schlögl氏が小さなパラダイス“ワカトビ”で過ごした素晴らしい日々をシェアしてくれました。

目の前には美しい海が広がり、新しい一日が始まります! 太陽がゆっくり昇っていきます・・・サンゴ礁では、夜行性の生物たちは寝床につき、他の生物がゆっくりと目を覚まし始める、穏やかな時間が流れる素敵な時です。

日が上がるとともにワカトビのゲスト、エリックは流れにのって緩やかに揺れる鮮やかなソフトコーラルを写真におさめるべく、出かけて行くのでした。


写真提供:ワカトビゲスト Erik Schlögl

ブダイの仲間は、夜になると隠れ場所を探して全身を保護粘膜で覆い眠りにつきます。そして日が昇ると、大好物の藻類を食べにサンゴ礁に出かけて行くのです。


写真提供:ワカトビゲスト Erik Schlögl

エスカと呼ばれる疑似餌を振りながら、朝食を狙うクマドリカエルアンコウ。周囲に溶け込み上手に隠れていましたが、エリックは上手に撮っていますね!パッと見は、ただのカイメンのようにも見えるので完璧なカムフラージュ術ですね。

カエルアンコウはカラーバリエーションがとても豊富な魚で、種ごとに異なるだけではなく、同じ種でも様々な色に分かれます。表皮の質感は、滑らかなものからでこぼこのもの、カイメンのようなシミをもつものもいます。


写真提供:ワカトビゲスト Erik Schlögl

太陽が空高く上がる頃、エサを探し求めサンゴ礁を泳ぎ回るハナミノカサゴをエリックは見つけました。よく見かける魚ですが、フォトグラファーにはいつも人気の被写体です。

同じフサカサゴ科の仲間ですが、派手なハナミノカサゴと地味でカムフラージュが上手なオニカサゴは、外見こそ大分違いますが多かれ少なかれ毒を持っているという、共通点が一つだけあります。


写真提供:ワカトビゲスト Erik Schlögl

日差しが強くなってくると、光が苦手なサビウツボは暗い穴に帰り、夜になるのを待ちます。そしてまた暗くなると、狩りをし始めるのです。

暗いオーバーハングにいたウツボでしたが、エリックは上手に撮影しています。


写真提供:ワカトビゲスト Erik Schlögl

その頃、アランさんはオトヒメウミウシ (Chromodoris Kunei) がゆっくり卵を生んでいる姿を捕らえていました!

一言でウミウシと言っても、いろんな色や形をした3,000種以上のウミウシが識別されており、現在でも新しいウミウシが毎日識別されているそうです!リボンの様な卵も、種に応じてさまざまなサイズ、形状、色に別れますが、通常食料源の近くに並べてあります。

大きさはわずか数ミリから5センチほどのものがほとんどで、多くは熱帯海域でよく見られますが、世界のどこの海にも生息が確認されています。


写真提供:ワカトビゲスト Allan Saben

アランさんが撮影したとても鮮やな写真の一枚です。

よくハゼ科とカエルウオなどのイソギンポ科を混同してしまいがちですが、ハゼ科は魚類の中で一番大きいグループで、世界で2,000種類以上のハゼが識別されています。

カメやサメなどの大型生物に吸着しているコバンザメが持つ吸盤状で、小判型に変形した背ビレと同じように、多くのハゼ科も吸盤状になっている腹ビレを持ち、石や岩にくっついている事が最も特徴的な点です。

このように半透明な体を持つハゼは、内臓や目のちょうど上にある脳などが透けて見えます!



写真提供:ワカトビゲスト Allan Saben

アランさんがナイトダイブに出かけ撮影した、美しいイソギンチャク (Pseudocorynactis anemones) のショットがこちらです!


写真提供:ワカトビゲスト Allan Saben

真昼の太陽の下、サンゴ礁は強い日差しに照らされカラフルに輝いて見えます。こんな時は、活気に満ちた生物を撮るのに最も相応しい時間と思いがちですが、実はほとんどの生物は強い光が苦手なため隠れてしまっているのです。


写真提供:ワカトビゲスト Erik Schlögl

私達の目には、とてもカラフルに見えるモンガラカワハギですが、迷彩模様の軍服を着た兵士やジャングルに住むヘビのように、水中では敵も見逃してしまうような、とても区別がつきにくい模様なのです!


写真提供:ワカトビゲスト Erik Schlögl

このように大きくてカラフルなウミウチワが生息する海は、残念ながら少なくなってきてしまいましたが、ワカトビの海域には今でも、多種多様で巨大なウミウチワがたくさんあります。

小さな生物の住み家でもあるウミウチワは、非常にデリケートなため、誤ってフィンで蹴ってしまったり、ゲージを引っ掛けてしまったり、大きいカメラやストロボを押し付ける事により簡単に壊れてしまいます。しかし、中性浮力をきちんととり、慎重にアプローチをするなど、私たちダイバー一人ひとりが気をつける事により、この美しい海をいつまでも守っていけるのです!



写真提供:ワカトビゲスト Allan Saben

ウミシダやウミウチワ、カイメン、海藻、海草など宿主に擬態する生物を見つけるには鋭い目が必要です。(例えば、このカミソリウオのように海草に見事に擬態している生物など。)

擬態上手な魚は、環境にうまくブレンドできる場所を見つけると、そこから動かないことがほとんどです。例え、大きなカメラを持つダイバーが近づいてきても、じっと動かず気付かれていない振りをしているのか、そこから動かない事がほとんどです!


写真提供:ワカトビゲスト Allan Saben


イイジマフクロウニは、棘の先に毒を持っているだけではなく、実は噛むこともできるのです!

ウニは、ヒトデやナマコ、ウミシダ、クモヒトデなどが属する棘皮動物のメンバーです。他の棘皮動物のように、五放射相称性(放射状に5方向に伸びた体)をしていて、透明で粘着性のある”管足”と呼ばれる何百もの小さな足で移動しています。

ウニは、光と化学物質、触感にとても敏感です。目こそありませんが、最近の研究では、体全体が目のような機能をしているかもしれない事を示唆しています。

ウニの棘をかじって壊し、棘が少なくなってくると裏返して内側の肉質部分を食べるゴマモンガラやモンガラカワハギなどのモンガラカワハギ科と大型のベラ科の魚がウニの天敵です。


写真提供:ワカトビゲスト Erik Schlögl

同じ頃、アランさんもまたヒトデの写真を撮っていました!

ヒトデの5本の腕には、呼吸、消化、生殖など生きていく上で必要な器官が揃っているのです!


写真提供:ワカトビゲスト Allan Saben

ムチカラマツやネジレカラマツは、ウミカラマツ科に属しており、まっすぐなものと、らせん状のものとありますが、今になっても多くの種が識別されていないままで、特定するのが難しいそうです。

短く尖ったポリプを持つウミウチワとは違い、ムチカラマツのポリプは簡単に目にすることが出来ます。いくつかのハゼは、吸盤状の腹ビレを持つためムチカラマツにぴったりとくっつき、触手の間に住んでいます。


写真提供:ワカトビゲスト Erik Schlögl

ウミシダは、腕に囲まれた内側の中心部上面に口を持っています。そして、U字型の腸と肛門は口の隣に位置しています。羽根のようで粘着性の粘液で覆われた腕を広げ、 水中を流れるプランクトンをすくい取っては、口へと運んでいきます。

エリックさんは、ウミシダが腕を広げ、緩やかな流れによって運ばれてくるプランクトンを捕らえている所を見事に撮影しています。もし、マクロレンズを使用している場合は、ウミシダカクレエビなどウミシダに住む小さな生物を探してみましょう。



写真提供:ワカトビゲスト Erik Schlögl

コチの仲間もまた、周囲にマッチしたカモフラージュ模様をしています。コチは、他の魚を食べる肉食で獲物を待ち伏せて狙う魚でもあります。

獲物が標的範囲以内に入るまでじっと動かず待ち、十分近づいた時に口を大きく開け一気に襲いかかり飲み込みます。口に収まるサイズの魚なら、問題なく飲み込めるようです! 私達ダイバーが近づいても、見つかっていないという確信があるのか、じっとしているので写真を撮りやすい魚です。


写真提供:ワカトビゲスト Allan Saben

日が沈み始めると、日中活動的だった生物たちは、長い夜を安心して過ごせる穴やサンゴの隙間を探し始めます。穏やかなこの時間帯ですが、ハンティングや求愛、交配、産卵など、魚たちにとって夕暮れ時は意外と忙しい時間帯なのです。


写真提供:ワカトビゲスト Allan Saben

夜のなると、ブダイの仲間も寝所に帰っていきます。蚊が多い所では、蚊を避けるための蚊帳を使うように、ブダイたちも外敵や寄生虫から身を避けるために特殊な粘液で全身を包み込むのです!この秘密兵器でもある粘液は口から出す事ができ、外敵に悟られないような特別な匂いがあるようです。

またこの粘液の膜は、万が一ウツボなどに見つかってしまった場合に、素早く逃亡できるよう、早期警戒システムとしても機能しているそうです!


写真提供:ワカトビゲスト Allan Saben

アランさんは、オーストラリアのシドニーで特殊な自動車の付属品を扱う会社の取締役を勤めています。

彼は、一年間一生懸命働いた自分へのご褒美に、ワカトビのようにサンゴと海洋生物が豊富な場所へ行くことが何よりの楽しみだと話していました。言うまでもありませんが、ダイビングと水中写真が彼の情熱です!

彼の写真をもっとご覧になりたい方は、こちらから:
http://www.redbubble.com/people/allans http://www.flickr.com/photos/allansaben





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