生命の誕生

2013年9月26日(木)

水中に生息する生物は、立派に成魚に成長するまで様々なハードルを乗り越えなくてはなりません。今回は、そんな海洋生物が生き残るために使っているユニークな行動や方法をご紹介していきましょう。


1. 全ての生物は本能的に子孫を繁栄し、自身の種を継続していこうという性質を持っています。サンゴ礁で成魚に成長し、生殖や生存していく過程でも多くの挑戦を強いられます。

この写真は、保護していたアオウミガメの赤ちゃんが、元気よくリゾートの前を泳いで大海原へ向かって行くところです。



写真提供:ワカトビゲスト William van de Wouw

2. 繁殖を成功させるための最初のステップは、相応しい相手を見つけることです! 通常は、オスが最高のメスを見つけ出し、何とかしてメスの気を惹けるよう頑張るのです。(なんだか似ていますね?)

夕暮れ時になると、ペラジアン号クルーズのマジックピアというサイトには数十匹(本当にたくさんいます。きっと50匹以上います!)のニシキテグリが求愛活動のため姿を見せてくれます。このサイトには、ペラジアン号でのみアクセスが可能で、この美しい求愛ダンスを見られる世界で最高の場所です!



写真提供:ワカトビゲスト Steve Rosenberg

3. ほとんどの種のメスの卵の生産量は、年齢と体の大きさに左右されるようなので、繁殖能力はメスの魅力のひとつにもなります。より大きなメスは、質が良く大きい卵を生むため、生まれたばかりの幼魚もサイズが大きく、生存できるチャンスが高くなります。そのため、オスは大きく年上のメスに惹かれる本能的な傾向を持っているようです。

このカクレクマノミの“カップル”の写真は、ワカトビのハウスリーフのジェティバーのすぐ下で撮影されたものです。



写真提供:ワカトビゲスト Mark Strickland

4. オスがお気に入りのメスを見つけると、オスは体の色や模様を変えたり、ヒレを点滅させたり、ダンスの動きを見せメスの注意を引こうとします。オスはこのような行動をメスに選ばれ、メスが自分のテリトリーに入ってくるまで続けます。サンゴ礁に生息する魚たちは、地球上で最も精巧で華麗な動物のようです!このような色は、メスを惹き付けるためのショーだけではなく、交尾中にも役割を果たしています。魚の独特な色やユニークな模様は、自分の種と他の種を識別するとき際に役立ちます。

たくさんの種類が確認されているチョウチョウウオやベラは、多くの類似した色や模様を持っているので、識別するために特定の姿勢や動きなど独自のユニークさを進化させてきたようです。



写真提供:ワカトビゲスト Steve Rosenberg

5. サメやエイなどのいくつかの限られた海洋動物は、親とほぼ同じ姿で生まれてきて、生まれた瞬間から独立して生きていく準備ができている胎生という発生方法もありますが、ほとんどの海洋生物は、卵が生み出され発育していく卵生という方法で、3つのカテゴリーに分ける事ができます。最も一般的なのが、外洋で産卵する生物たちで、ブダイから脊椎動物まで含まれる大きなグループです。

この写真のウミシダも同じで、配偶子である卵子と精子を海中の流れに乗せて放出しています。卵が水中を流れることで、捕食から逃れるチャンスが高くなります。この現象は、日の光があまり届かない夕方から夜にかけて見ることができます。ニシキテグリのように毎日産卵する魚もいれば、特定の時間にだけ、もしくは毎月、または年に一度だけ産卵する魚もいます。



写真提供:ワカトビゲスト Richard Smith - www.oceanrealmimages.com

6. いくつかの種は卵子と精子を一斉に集団で産卵し、卵により高い生存チャンスを与える方法を使っています。外洋に生息するほとんどの魚の卵や幼魚は、半透明で浮力を持ち、光に向かって移動する傾向があるため捕食者から逃れることができます。孵化しても目やヒレ、色素が無いことがほとんどで流れに乗りながら成長し、幼魚期に入ると魚の姿に変容していくのです。



写真提供:ワカトビゲスト Mark Snyder

7. 何かに卵を産みつける魚でも、時には卵が孵化するまで親に守られ、孵化した後は流れに乗りながら幼生期を過ごす魚もいます。クマノミやスズメダイ、ハゼの仲間などが一般的ですね。しかしサンゴ礁が広がる海では、このように親が卵や幼魚を育てていくのは大変稀なケースなのです!

この写真は、オトヒメウミウシが卵を生み付けている瞬間を撮影したもので、’The Zoo’ や ‘Trailblazer’、‘Magnifica’ などワカトビで人気のサイトでよく見られます。



写真提供:ワカトビゲスト Allan Saben

8. タツノオトシゴやヨウジウオのオスは、卵が孵化するまで育児嚢(いくじのう)という袋の中で卵を育てます。

そして、さらに印象的なのが口の中で卵を保護するテンジクダイやジョーフィッシュです。これらの魚のオスは、デリケートな受精卵を敵から守るために孵化するまで口内保育を続けるのです!




写真提供:ワカトビゲスト David Gray

9. サンゴは、地球上で最も多様な動物のひとつです。サンゴはいかなる時も、生産し生き残ることができる術を進化させてきました。膨大な数の卵が放出され、海を漂います。流されたサンゴの幼生がどこかに定着するまで何ヶ月もかかることもあるようです。



写真提供:ワカトビゲスト Walt Stearns

10. サンゴと一言でいっても本当にたくさんの種類があり、オスとメスが同じ群体に住んでいる種もあります。それらのサンゴは満月が近くなると、精子と浮力を持ついくつかの卵がカプセルのように一つに包まれたバンドルを一斉に放出します。海面まで浮き上がったバンドルは、水面で卵と精子に離れ、他の群体の配偶子と交配するのです。

一般にサンゴの産卵と言われていますが、実は卵ではなく卵と精子のカプセルなのです!



写真提供:ワカトビゲスト Wayne MacWilliams

11. 稚魚の時に生き残ることができたとしても、まだ脆弱なため成魚に狙われる可能性がとても高いため、幼魚自身がいくつかの戦略を持つ必要があります。



写真提供:ワカトビゲスト Steve Miller

12. 幼魚の時は浅瀬に落ち着くことが多く、成長していくにつれ深い所に移動していきます。

マングローブや藻場、そして浅瀬に広がるサンゴのエリアなどは食物が豊かなため、成長していくために最適の場所です。シンプルに成熟のタイミングに影響を与える食物が必要不可欠で、体が大きければ大きい程生存のチャンスも高くなります!



写真提供:ワカトビゲスト Richard Smith - www.oceanrealmimages.com

13. マングローブや藻場は、日陰で透明度も低く、隠れる場所がたくさんあるため、補食される確率を低くすることができます。そのため、このような生息地を保護することは極めて重要となります。幸いワカトビの島々は、健康なマングローブや豊かな藻場、そして浅瀬に広がるサンゴのエリアがたくさんあるので、幼魚が生きていくためのチャンスが広がります。

このようにヘルシーな藻場は、リゾートの目の前に広がっているため、ヴィラやバンガローからシュノーケリング・アドベンチャーにいつでも行くことができますよ!




写真提供:ワカトビゲスト Warren Baverstock - www.warrenbaverstock.com

14. いくつかの幼魚たちは“クリーナーブルー”と呼ばれる、マジカルな色をしており、この色は魚だけが見ることができる青色の光波長だと科学者は言います。この色を持っている魚は、寄生虫などを取ってくれるクリーナーであることを示しているため、補食されるのを防ぐことができます。

チョウチョウウオやキンチャクダイ科のヤッコ類、ベラなど幼魚の時に、このキレイなクリーナーブルーを持つ魚もいます。しかし、成長していく過程でほとんどの魚がこの青色を失っていきます。



写真提供:ワカトビゲスト Frank Owens

15. 色や模様は、脅威があるのか無いのかを他の動物に知らせるためのものでもあります。多くの幼魚は、成魚の激しい縄張り争いから逃れるため、成魚と全く異なる色や模様をしています。成長して行く課程で、強さと大きさを兼ね備えた時にのみ、成魚の色合いになるのです。幼魚は外見が成魚と全く違うため、幼魚を識別するのにとても苦労するのは、このためです!

この写真は、ミナミハコフグの幼魚でとても可愛くてキレイな色合いをしています。



写真提供:ワカトビゲスト Rob Darmanin

16. ハコフグのオスの成魚はこんな感じです!



写真提供:ワカトビゲスト Bill Nyitray

17. 海の中では、生き延びるのが大変なだけではなく、生命が誕生する前から容易ではありません! 魚の密度が高いサンゴ礁では、幼魚や成魚死亡率も高いので、海草やマングローブ、浅瀬などの壊れやすくて貴重な生息地を保護することによって、私達人間もサンゴ礁での生命を維持することに貢献できるのではないでしょうか?



写真提供:ワカトビゲスト Warren Baverstock - www.warrenbaverstock.com



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