こんな所に?
2012年10月29日(月)
サンゴ礁外縁の砂底とサンゴ礁の間は、地味な色合いのせいか見逃しがちですが、実は様々な生物が生息する特別なエリアなのです!ワカトビのサンゴ礁は、美しく健康でとてもカラフルなためすぐに目を引かれてしまいます。
しかし、サンゴ礁と砂底の間にも見逃してはいけない特別なエリアがあるのをご存知でしたか?鮮やかなサンゴ礁と比べると、色合いも地味なので見過ごしがちですが、それは大きな間違いなのです。
写真提供:ワカトビゲスト Warren Baverstock
鮮やかな色とたくさんの生物が目の前に広がっているのに、どうして地味な砂地やガレ場で時間を費やす必要があるのか不思議に思いますよね? はい、ここにはいくつかの理由があるのです・・・
一つの理由として、このような砂や岩、壊れたサンゴや破片からなるガレ場は、魅惑的な生き物が好む生息地なのです。
写真提供:ワカトビゲスト Kevin Phillips
モンハナシャコやウニシャコなどのシャコの仲間は、砂地やガレ場に自分たちの家を作ります。
彼らは、頭の上にある2つの目を別々に動かす事ができるだけではなく、12の違ったカラーチャンネルで見ることができ、そのうち4つは紫外線で見ることができるため、地球上で一番優れた視力を持っているのと言っても過言ではありません!(私達人間は、わずか3つのカラーチャンネルしか持っていません!)
驚くのは視力だけではありません。家(巣穴)を修理する様子や捕獲シーン、卵を大切に抱えている姿など、面白い行動をするので観察してみてください。
写真提供:ワカトビゲスト Adam Wandt
エソ科の魚は、獲物を待ち伏せして狙う魚の一種です。
ほとんどの時間を、ガレ場や岩の上で過ごすのを好みます。じっと動かず、 体色や模様を調節し、周囲の環境に完璧に溶け込み、獲物を待ちます。
写真提供:ワカトビゲスト Richard Smith
そして、見てください!!
夜、‘蛍光発光ダイビング(Fluo Diving)’に行くと、ガレ場で光るエソの姿を見る事ができます!
特別な水中ライトを使うと体全体が黄緑色に見え、視力に関連するのか確かではありませんが、目のふちも黄緑色に光っています。
まだ、なぜ蛍光発光しているのか明らかになっていませんが、一つだけ確かな事は、いくつかの種は発光できるという事です!
写真提供:ワカトビゲスト Wayne MacWilliams
アゴアマダイ科に属するジョーフィッシュは、オスとメスがカップルとして一緒に生活しています。
メスは丈夫な卵を作るため、プランクトンを食べる事にほとんどの時間を費やし、エネルギーを蓄えます。オスは、大切な巣穴を担当します。強力な顎(あご)を使い住み心地の良く、凝った巣穴を作り上げます。
完璧な巣穴が完成すると、オスはメスを自分の巣穴に誘い、メスは巣穴内で卵を産みます。そして、卵を守るためにオスがすることはというと・・・自分の口の中に卵を入れて、孵化するまで待つのです!!
写真提供:ワカトビゲスト Burt & Maurine
海ヘビは、一生を海水または海の近くで過ごし、大きいもので150cmくらいまで成長する毒へビです。祖先は、地上のヘビだったものが進化した種も中にはありますが、ほとんどの種は完全に水生生活に適応しています。魚と違って鰓(えら)を持たないため、定期的に水面へ上がってきて呼吸する必要があります。
写真提供:ワカトビゲスト Adam Wandt
ヤドカリは巻貝や二枚貝だけではなく、時には木の破片やプラスチックのキャップなどを家にしている事もあります。砂地やガレ場では、より良い住み家を求め常に目を光らせています。
成長するにつれ大きな貝に移り住む必要があるため、それまで愛用していた貝を手放さなくてはなりません。大きくて新しい貝が見つかると、みんなで集まり大きい順に列を作ります。そして、一番大きいヤドカリが新しい貝に引越し、二番目に大きいヤドカリが空いたばかりの貝に移動する要領で、3番目以降も次々に貝を交換していくのです!
写真提供:ワカトビゲスト Eric Cheng
ヨウジウオは、細長い体に小さい管状の口を持っています。タツノオトシゴの親戚にあたるヨウジウオの仲間たちは、一夫多妻制でオスが幼魚の面倒をみます。
ヨウジウオのペアは、ワカトビエリアの浅瀬やガレ場でよく見ることができ、フォト派ダイバーの人気の被写体のひとつです。
写真提供:ワカトビゲスト Wayne MacWilliams
フサカサゴ科に属する魚たちは、周囲の環境に合わせられる適応性の高い魚の一種で、獲物を待ち伏せて狙う魚です。
周囲の色に体色を合わせたり質感を変化させたりと、カムフラージュのテクニックを使い、獲物を待ちます。獲物が通り過ぎる時、口を大きく開け水と一緒に一気に飲み込むのですが、自分と同じくらいのサイズの獲物も飲み込めるそうです!
写真提供:ワカトビゲスト Richard Smith
蛍光発光ダイビング(Fluo Diving) は、全く違った水中世界を体験できるダイビングの仕方で、普段はカムフラージュ上手なカサゴも、特殊なライトを当てると信じられない発色をし、目をひかれます。
科学者たちの間では、水中生物が色を変化させている訳は、彼らの秘密なコミュニケーションの取り方なのではないかと考えられています。
写真提供:ワカトビゲスト Wayne MacWilliams
平たい体に青い斑点が美しいモンダルマガレイもまた砂地やガレ場を生息地に好む魚の一種です。
写真提供:ワカトビゲスト Pam McPherson
砂地に巣穴を掘り、潮の流れに身をまかせ踊っているようなチンアナゴ。素晴らしい視力を持つアナゴ科のこの魚は、私達には見えないプランクトンをエサとしています。ちょっと臆病なチンアナゴは危険を感じると、すぐ巣穴の中に隠れてしまいますが、少しするとまたエサを食べるためにゆっくり顔を出します。
彼らは、エサを探すのに無駄なエネルギーを費やすことなく、割と安全にエサにありつけるため、一日のほとんどをエサの摂取に費やします。
写真提供:ワカトビゲスト Ken Knezick
トラフシャコ科のシャコもまた砂地や砂礫底エリアを生息地に好みます。
素晴らしい視力を持つシャコ科の仲間は、きっと地球上で一番狩りが上手な生き物でしょう。
写真提供:ワカトビゲスト Steve Miller
夕暮れ時から活発に活動し始めるサンゴモエビも、砂礫底のエリアを好みます。小さな穴やサンゴの間を探してみてください。
写真提供:ワカトビゲスト Doug Richardson
今度、ダイビングに出かけた時は、明るく色鮮やかなサンゴ礁のエリアだけではなく、砂礫エリアも、ゆっくり見てみてください。
きっと驚くはずです!
写真提供:ワカトビゲスト Steve Miller